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完全リモートによる本作りに思うこと [ライター的]

最近は、自分の本を書くより、もっぱら他の方の本のお手伝いをしている。なぜ自分の本を書かないのかということは、その話題だけで長くなりそうなので、またの機会に譲ることにするけど、お手伝いする場合の著者はだいたい、その世界では名のある方が多い。

その本作りも昨年から様子が変わってきた。リモートでの進行が当たり前になってきたのだ。昨年は初めて企画から発売にいたるまで、著者と一度も対面することなく、要するに、一冊の本を完成させた。オンラインで画面越しに「初めまして」のご挨拶をしたまま、本が完成し、打ち上げでお会いすることもなく終了、ということである。

そして今夏、著者だけでなくとうとう編集者とも一度も対面で会うことなく、初対面で本作りを進め、もうすぐ発売というところまで来ている。

初めてのお仕事で企画内容の詰めも、具体的な構成内容も、タイトルの検討も、ゲラのやり取りも全部、オンラインによる会議と取材、ならびにメールのやりとりだけで終わろうとしているわけだ。

そもそも本作りというのは、それぞれの考え、主張、仕事のスタイル、文体や内容の好き嫌い、それぞれの持ち場のスケジュール感、などが複雑に絡み合い、時には互いの価値観が対立しあい、最後には融合させながらやっと1冊ができるものだ。

どれだけ微妙な感覚を共有できるかが勝負なので、コロナ前までは関係者が顔を突き合わせて議論しない限り、本作りはできないと思っていた。ところが、否応なしにそうするしかなくなってみると、まあやってやれないことはないか、という感じ。

しかしやっぱり最後の最後で、いつもより何倍も調整に苦労するということもわかってきた。原稿ができてから議論がはじまってしまうのである。あげく原稿の切った貼ったが始まる。

やはりどこかで一度は対面の会話をしたほうが、気持ちよくやれるような気がしている。気持ちよいというのは、互いが何のためにこの本に携わっているか、その高い志の部分が共有できるということ。

そこはやっぱり大事だなと思っているこの頃です。



七々三




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