KANさん

KANさんが亡くなったことは、
その日のネットニュースで知りました。

いつだったかなと、PCのファイルを調べてみたら
もう11年も前のこと。
航空会社が発行する機内誌のインタビューだったから、
音楽ではなく、テーマは旅のお話。

世界中を旅していたKANさん。
僕がお会いした頃は、
かつて旧ソ連に属していたような、
日本とはあまり馴染みのない国の、
名もない村を訪ねることが多いと
話していました。

現地の料理とお酒を、
現地の人が食べるのと同じスタイルで味わう。
それがKANさんの旅の流儀。

現地の人が素手で食べる料理は
フォークやスプーンで食べても
うまさがわからないんです、と。

楽しそうに話してくれてはいたけれど、
「愛は勝つ」を熱唱している時とはまるで別人のような、
優しくて物静かな雰囲気。
この人の本質はシンガーではなく、
ピアニストなんだと途中から気づきました。

どんな人にも勇気を与えてくれるあの名曲は、
これからも歌い継がれていくことでしょう。

ご冥福をお祈りします。


七々三