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真備町 [西日本豪雨]

うぐいすの声が耳に心地よい川のほとり。1両だてのディーゼル車が、ゆるいカーブをかたことと辿って「備中呉妹」の駅に入ってきます。堤防の高さだけ階段を登ったところにある無人の短いホーム。女子高生が一人降り立ち、その階段を降りていきました。

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土手の反対側を流れる小田川の水は澄んでいて、川底の細かい砂をあらわに映しています。まるでなにごともなかったかのような、のどかな情景。

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真備町。GWの帰省中の晴れた日、実家から車で30分ほどのこの場所をひとり訪ねました。

昨年の7月9日(月)、あの車両に乗って、倉敷市役所から県西部にある井原の高校に、取材に行く予定でした。

前日に取材中止を告げる連絡を受けて以後、報道に釘付けとなりました。数日たって、幸い私の知人に命を落とした方はいないことがわかったものの、中学時代の同級生の一人は自宅二階で首まで水に浸かったところを救助されたと聞きました。

あれから10か月。井原鉄道井原線は復旧していて、町はすっかり静かな暮らしをとりもどしたかのように見えます。でも町を少し歩くと、12時あたりで時計が止まったままの学校。2階の窓までなくなっている住居跡。まだ、再開されない図書館。

堤防にかかる橋の入り口付近に立ってみると、重機の唸りがあたりに響き渡っています。連休中も復旧工事が行われている様子に少し安心しました。

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吉備真備出生の歴史を持ち、清流と美しい緑と鳥のさえずりが響き渡る豊かな自然を残す町。災害の多い場所に住む方が悪いんだ、という心ない声も上がる中、自宅を失った私の知人は、再び真備町に戻ることに決めたと連絡をくれました。

生まれ育った故郷に戻ることを希望する、子どもたちのための決断だったと言います。

今年もまた全国で豪雨が襲う可能性が指摘されています。この地がより安全に暮らせる街となって復興し、子どもたちが、またもとの学校に通えるよう、避難している人たちがもとの暮らしを取り戻せるよう、これからも見守っていきたいと思います。

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