SSブログ
原発関連 ブログトップ
前の1件 | -

「朝生」に田坂広志さん出演 原発のこれからを激論 [原発関連]

2016.3.12 sat

テレビをつけたら『朝まで生テレビ』に、多摩大学大学院教授の田坂広志さんが出演されているのを発見し、つい明け方まで見入ってしまいました。

20160312_040218a.jpg

田坂さんには、拙著『社会起業家になる方法』でご協力いただいて以来、ず生き方を学ばせてもらっている、私の人生の師のひとり。

ビジネスの専門家であり、思想家としても活躍されていますが、もともとは原発の専門家。震災時には内閣官房参与として、福島第一原発の事故の緊急対策に取り組まれました。

今回の「朝生」には、議員、大臣、推進派の専門家、元滋賀県知事ほか文化人の方々が集い、激論を交わしていましたが、田坂さんの発言に勝るビジョンと解決策を提示された方はいなかったように感じました。

通常こうした原発関連の専門家たちの議論では、それぞれが自分の「立場」の中でしか話さないため、「本当はどうあるべきか」というまっとうな議論になりにくいものです。

なせそうなるのか。おそらく原発が国策として進められてきた経緯があるからでしょう。

なぜこの国策は、まるで成田空港建設と同様、自然なほど強引に進められたのでしょう。それは、夢のエネルギーの実現というだけでなく、国民に詳らかにされていない裏の狙いがあったとしか考えられません。

裏の狙いとは何か。もちろん確証があるわけではないので明言は避けますが、いうなれば、国内にプルトニウムを確保することの意義、とでもいいましょうか。

私のみならず、国民の多くがこれまで原発の恐怖を感じてきたわけです。特に99年の東海村臨界事故によって、あまりに杜撰な管理体制が明るみになった時には、原発の本質的な問題、すなわち、人類の原子力開発はまだ放射能を安全にコントロールできるほどには進んでいない、という事実がはっきりしたわけです。

そもそも、これだけ国土の狭い島国に50基以上の原発を稼働させることは、テロ対策や自然災害などの危機管理上、極めて問題であることは、多少なりとも原発のことを調べれば誰にもわかることです。

私は21世紀に入ってから、原発の危険性を訴える記事を雑誌で何本か書きました。が、読者の反応は薄く、自分の問題として考えてもらうにはいたりませんでした。反対に電力会社から猛抗議を受けて虚しさばかり感じるような状況でした。

2011年、福島での事故が起きた時、政府も電力会社も専門家も、「想定外」という言葉を連呼したけれど、原発に多少なりとも関心を持ったことのある人は、あれがいかに人類にとって御しがたい、危険なシロモノであるかはわかっていたと思います。

当時、あまり知られていませんでしたが、原発を管理し安全性を審査する立場の専門職員でさえ、杜撰な管理体制に危機感を感じ、危険を知らせるデータを提出していたのです。ところがその職員の声は上司によってもみ消され、データも改ざんするよう要求されました。

そこで、彼は政府機関に告発したのです。ところが政府機関はその声を問題にするどころか、闇に葬ろうとしたのです。結果的にその職員が組織にいられなくなりました。

職員は職場を追われたのち、裁判に訴えました。

その人は藤原節男さんという方で、当時、検査データを上司から改ざんするよう強要されたことを、『原子力ドンキホーテ』という著書で明らかにしています。私はその本づくりに全面的に協力をし、藤原さんの声を記事にして雑誌に発表したこともあります。

しかし、その主張は司法の場でも受け入れられませんでした。

一連の裁判を見渡す中で、私は原発に関わる人や組織というものに、とてもダークな印象を持ちました。政策や法律を盾に話すばかりで、人として、まともな話ができない輩ばかりという印象が非常に濃厚に残っています。私が、不自然な国策、というのはそういうことなのです。

今回の「朝生」で原発のこれからを語る論客や専門家の中にあって、終始、まっとうな意見を主張されていたのは、田坂さんだけでした。それは田坂さんが専門家としての知見を持ちながらも、肩書や政治的な立場で話すのではなく、国民のひとりとしての肌感覚をもとに原発を論じていらしたからでしょう。

「安全の基準値を定めることより、まず政府、専門家が信頼を回復することが重要。
福島の事故原因の総括と処理の目途が立たないまま、政府が原発再稼働を語っても国民が納得しない。
もはや「もんじゅ」という高速増殖炉ありきの、核燃料サイクルは破たんしているのだから、それを前提に核廃棄物の現実的な処理方法と廃棄場所を論じるべきだ。」

との田坂さんのご意見は極めてまっとうで、これに反対する余地はないでしょう。にもかかわらず、反論し続ける人たちは、反対せざるをえない立場なり利害関係の中にあるとしか考えようがない。

私は、原発の議論に、田坂さんが参加してくださっていることに大きな救いを感じています。それと同時に、あの場に参加されることを決意された田坂さんに心から敬意を表したいと思います。

さらにいうと、あの場に田坂さんを招いた田原総一郎さんにも、初めてですが、敬意を持ちました。

これから田坂さんが提示した問題に向き合うことで、日本の原発の論議が、政府や電力会社の意向や、専門家のプライドでなされるのではなく、国民一人ひとりが感じている「恐怖」を前提に行われるようになることを願ってやみません。


社会起業家になる方法

社会起業家になる方法

  • 作者: 大島 七々三
  • 出版社/メーカー: アスペクト
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: 単行本



前の1件 | - 原発関連 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。