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「パーパス」 [新語・流行語]

最近、ビジネスの話題で「パーパス」という言葉をよく見かけるようになった。
先日も日経新聞の「きょうの言葉」で取り上げていた。

「パーパス」とはもともと「目的、意図」と訳される英単語の「Purpose」。それが最近になって「社会での存在意義」という意味の経営用語として広まっている。

そして「なぜ自分の会社が存在するのか」を考え、それをわかりやすい表現で明文化することが、経営の重要項目になっているという。

日本では古くから「経営理念」があり、多くの会社がすでに掲げている。「パーパス」はそれを海外から逆輸入してきた感がある。わが社は何のために存在しているのか、と自らに問いかける日本的な経営観が、欧米でも浸透しているところが興味深い。

35年ほど前、私が就職してすぐに先輩や上司から教えられた会社の存在する目的は、とてもシンプルだった。それは「利潤の追求」。
「やり甲斐だの働き甲斐だのは、勝手に自分で見つけろ」と教えられた。
日本人が欧米から「エコノミック・アニマル」と呼ばれていた時代だ。

しかし今は、働く意味を提示してくれない会社は若者も選ばなくなってきた。だからこそ会社に存在意義が問われている。だが、それは同時に一人ひとりが働く意味を探しているということでもある。

そんなもの、かつての若者だって真剣に考えていた、と言いたくなるのだが、あの頃はそんなものがなくても、どこかの会社に収まってそれなりの生活を営みこともできた。
「俺には夢も才能もないから、サラリーマンにでもなるよ」とは、よく聞かれたフレーズだ。
ところが今は、自らが働く意味を表明できない人には、働くチャンスがなくなってきているように見える。

存在する意義などとは哲学的で、「理想の追求」のように見えるが、実際は「利潤の追求」の時代よりもよほどシビアかもしれない。



七々三





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