SSブログ

スマイルの値段 [社会事象]

海外旅行、パーティー、同窓会、打ち上げ、同僚との飲み会、家族や友人との外食……
コロナ禍で失われたり、少なくなったものは多いが、
この頃、特に感じるのは、街から笑顔が消えていること。

その前は、ターミナル駅でもコンビニでも、道端でも、人が集まったりする場所には、必ずどこかに笑顔があったし、笑い声を上げながら談笑する一群とすれ違ったりしていたものだ。

ところが最近はそういう光景をほとんど見かけなくなった。

コンビニでもスーパーでも、この頃は笑顔で迎えてくれる店員はめったにいない。

カフェでも、女子高生が楽しく会話するシーンは見られなくなった。

コロナで失われたものの筆頭は、笑顔なんじゃないか。

ところが先日、一人3~5万円はかかりそうな高級鮨店に知人に招かれたとき、お店に入るとフロアにいたマネージャーさんが、満面の笑顔ときっちりしたお辞儀で迎えてくれた。

それに呼応して「いらっしゃいませ~」とカウンター越しから、若い大将の威勢の良い声が響く。

そうか、笑顔と元気な声はもう高級品になったのかと、ふと思った。

サービス業や接客業からも笑顔が失われていく時代になって、あらためて深みとすごさを感じるのは、マクドナルドの「スマイル 0円」の表示だ。

僕がまだ若い頃――というと今から30年ほど遡ってしまうのだけれど、
マクドナルドの店頭にあったメニュー看板の一番下に、その表示があった。

その当時は、軽い「あざとさ」を感じてスルーしていた。というのも、当時はどこのお店に入ろうと、店員が笑顔で迎えてくれることは、当たり前の時代だったからだ。

まもなくして、マクドナルドは「スマイル 0円」の表示をやめた。

ところが2010年代の半ば頃から、また復活したという。今ではデリバリューのメニューにもそれが入っているらしい。

最近はあまりマクドナルドにはいかなくなったが、街から笑顔が消えた今、このメニュー表示をみたら、思わず、おーと言いたくなるし、じわじわ胸にしみてくるものがある。

おもてなしの国と自画自賛する日本で、笑顔が高級品になっている一方で、アメリカ発のファストフード店が「スマイル 0円」と打ち出しているということに、僕なんかはひっかかってしまうのだ。

値段がつかないからお店で出さないことにするか、値段はつかなくてもその価値をお客さんに提供しようと努めるか。

この違いはけっこう大きいと思うんですよね。

国とか、国民の器の大きさは、そんなところに表れてしまうような気がするこの頃。私個人としては、出し惜しみしないようにしたいなと自戒しているところです。



七々三
家族にも忘れないようにしないとね。

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。