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あれから7年 [東日本大震災]

さきほど日付が変わり、今年もこの日が来ました。

昨年に続き今年も、現地に赴くことができなかったことが悔やまれてなりません。日常の事情に今年も阻まれてしまい、誰にというわけではなく、申し訳ない気持ちです。

震災後、多くの被災地を訪ねましたが、その中で今も鮮明に覚えている光景があります。

あれは震災から半年ほどたった頃。取材を終え、夜たった一人、気仙沼から南三陸町のホテル観洋に向かって車を走らせた時のことです。

半年たっても海岸沿いの一本道には人影どころか灯さえなく、漆黒の闇の中に時折、家らしき影が確認できるのみ。ただヘッドライトが照らす方向だけを凝視し、がたがたの道を、ハンドルを取られないよう注意しながら運転していました。

道に沿ってカーブするたび、ヘッドライトが田んぼの真ん中にひっくり返った大小の漁船の船体や、ブイや網が木にまとわりついた光景を映し出しました。

数か月前まで、ここに集落があった…。ここに港があった…。ここに駅があった…。脳が認識しようとするのを振り切って、「前だけ見てろ」と自分に言いきかせながら、ハンドルを握っていました。

前後に車の影はなく、ただ自分だけがここを走っているのかと思うと、なぜか涙が溢れてきて困りました。それを指で拭いながら、ゆっくりゆっくりと進んでいきました。

途中、一度だけ、車とすれ違った時、ほっとしてぐは~っと息を吸ったことを覚えています。緊張していたのか、気づかないうちに息を止めてしまっていたのです。

40~50分程度の移動でしたが、ぼくには何時間にも感じられ、ホテルの看板の明かりを見つけた時は別の次元から現世にもどってきたような気持ちになりました。

自然の強大な力にくらべて、なんと人の営みの、か弱きことか。

そのことを思い知らされた夜でした。

あれから7年。

犠牲者の方々には、謹んで哀悼の意を表しますとともに、家族を失った方々のあの日から今日までの歩みに、心より敬意を表します。

そして復興に尽力されてきた方々お一人おひとりに、思いを馳せるばかりです。

津波は多くのものを飲み込んでいきましたが、その分、いやそれ以上に、大きなものを得ている途上にあると信じたい。

もちろん、復興と新しい町づくりはまだまだこれから。そのプロセスを僕はこれからも微力ながら支援し、見届けていきたいと思います。

来年は必ず、街灯のついた沿岸の道をクルマで走ろうと心に誓いながら、本日午後2時46分、祈りを捧げたいと思います。

※被災地を1年後に訪れた時のことをこのブログでお伝えした記事
「3.11を迎えて~1年後の被災地を歩く2」 
http://nanami-oshima.blog.so-net.ne.jp/2012-03-12




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