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日本はTPPに参加すべきか。 [農業]

2月23日(水)

今朝はニュージーランド地震の話題で持ちきりですね。被災された方、とりわけ海外から留学やツアーで訪れていた被災者の方の安否が気になるところ。犠牲が最小限に食い止められるよう、お祈りするばかりです。それにしても、地震や火山の噴火など自然の猛威の前には、人間はぜい弱なものだと改めて思い知らされます。

さて、「自然」と言えば、このところテレビや新聞等で、農業の話題を目にすることが増えました。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に日本が参加べきかどうかの熱い論議が繰り広げられているからです。TPPとは、太平洋周辺諸国が手を組んで、自由貿易圏を作りましょうという、協定のことですね。

自由貿易ということはすなわち、貿易に関してあらゆる品目で関税をなしにする、ということです。品目によって例外を認めることはしませんから、これに日本が参加するということは、輸入農産物の関税もなくなるということです。これまで日本は、海外から入ってくる農産物にはえらく高い関税をかけて、日本の農産物を守ってきただけに、TPPに参加することには慎重な態度が必要と言われています。

政府内では、経産省が参加を、農水省が不参加を、それぞれ国益だと主張し合っていて、真っ二つに分かれたまま。日本の農業が大きな分岐点に立っています。

私は、昨年上梓した『農業を企業する』という本でテーマにした通り、日本の農業が「儲かるビジネス」に変わらない限り、衰退は食い止められない、という考え方です。その観点に立てば、TPPに参加すべきだというのが、私の結論です。いくら政府が手厚く「保護」しても、守るだけではもう、日本の農業の衰退は止まらないからです。

日本の農家の大半(7割以上)は兼業農家です。つまり会社勤めをしながら、畑や田んぼ仕事をしている人です。こういう人たちは、会社勤めで生計を立てていて、農業は副収入として位置付けています。一方、農業だけで生計を立てている専業農家は3割弱です。

私の知り合いの若手農業起業家たちはよく、いまの日本の農業は「アマチュア」が支えている、と話します。アマチュアは真剣にそれで食っていくすべを作ろうという意欲に乏しく、農業にイノベーションは生まれにくい。したがって技術も、流通も、販売形態も、マーケティングも進化しないというわけです。

国に守られてきたからこそ、変化を望まない「土壌」ができてしまったわけですが、そのおかげですっかり世界の趨勢から置いてきぼりを食らっている状況です。

守られているだけでは、日本の農業はいつまでたっても競争力がつかない。他国の農産物から、どんどん差をつけられてしまうだけです。他の農業大国と圧倒的な差がついてしまったとき(すでについているが)、関税というハードルは、市場の論理でものの見事になぎ倒される日が来るでしょう。

そんな将来の姿が見えている以上、これまで長年農業を営んでこられた農家の方々にとっては厳しくも苦しい決断とになるとは思いますが、日本の農業をプロに任せる方向で変えてはどうでしょうか。政府も行政も農家も一般の人たちも、感覚を真逆に変えて、農業を強くするために、競争に裸身をさらすことを考えるべきでしょう。保護がなくなってこそ、日本の農業は真に強くなれるのだと思います。

そもそも日本の農業技術は世界一と言われています。その力を最大限に発揮すれば、TPPを通じて日本の農業が成長する筋道を考えるべきだろうと私は思っています。目先の利益より10年後、50年後の日本のために決断するべき時が来ていると私は考えます。

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