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NPO法人G-net創業者、秋元祥治さんが『20代に伝えたい 50のこと』を出版 [社会起業家]

2001年から岐阜の地域活性化の活動に取り組み、やがてNPO法人G-netを立ち上げ、現在は岡崎ビジネスサポートセンター・Oka-Bizセンター長を務める秋元祥治さんが、この度、本を出版されました。

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タイトルは『20代に伝えたい 50のこと』(ダイヤモンド社)。そのタイトルに込められた意味とは、“38歳となった今、20代の自分自身に伝えたいことをまとめた本”なのだそうです(「はじめに」から)。

秋元さんは、ソーシャルビジネスという概念が海外から日本に紹介され始めて間もない頃、日本における「社会起業家」のロールモデルとなった人物です。そして、ぼくにとっては「社会起業家」と呼ばれる一群の若者たちに、関心を抱くきっかけになった起業家のおひとりでもあります。

初めてお会いしたのは、たしか2008年の秋。拙著『社会起業家になる方法』の取材を進めたばかりの頃でした。

当時のぼくは、「社会貢献を事業にしている若者」という社会起業家に関する説明に、まだ評価を定められないでいました。というのも、事業経営は一筋縄ではいかないものであり、社会経験の少ない20代が事業を作って継続していくのは至難の技、という思いがあったからです。

加えて、どう考えてもお金にならない社会貢献を事業にするというのは理想であり、現実的には無謀、というのが当時の常識でした。

そういう勝算の立ちづらい事業にあえて挑んでいるからこそ彼らに関心を持ち、希望を見ようとしていたわけですが、その一方で、大変失礼ながら、得体の知れない存在であったのも事実。もしも彼らのお話をうかがって、一過性のブームに過ぎないと感じたなら企画は取りやめるしかないと思っていました。

半信半疑のまま取材をスタートして、最初の頃にじっくりとお話をうかがった起業家の一人が、当時28歳だった秋元さん。岐阜駅のすぐ目の前にあるオフィスを訪ねお話しをうかがってみて、心配だったことは杞憂だと悟りました。

わずか1時間半ほどでしたが、彼は寂れゆく地元の商店街をなんとかしたいという思いから立ち上がり、地域のために何か貢献したいのだと熱く、素直に、そして丁寧に語ってくれました。そして自ら手を挙げチャレンジする大切さをストレートに訴えてくれたのでした。

はたから見れば、若者のノリで始めたことのように見えて、その裏には「思い」と「志」という土台がしっかりと根づいていることがよくわかったのです。

その時の印象として強く残ったのは、「若いのに“自分の言葉”をたくさん持っている人だなあ」ということ。彼が語る言葉はどれも、思いつきから出てきたものではなく、地に足をつけた人の言葉だと感じました。「こんなに若いのに、なぜ40代半ばの自分にも響く言葉を次々と繰り出してくるのだろうか」と、不思議に思ったものです。

今回、この本を読ませてもらって、その理由がよくわかりました。彼は学生時代からずっと、各分野で活躍されている人物や、実績を積んでこられた方々から、たくさんの教えを受け、それを実践していたのです。この本には、彼がどなたから何を学び、そこからどんな行動をしたか、克明に記されています。

彼が岐阜の地で始めたことは、誰もやったことのなかった活動でした。参考になるモデルがなく、なおかつ「何も知らない若造に何ができるか」と批判の対象になってしまう中で、ただ地元地域のために何かしたいとの思いを貫いてきたのは、本当に立派なことでした。

活動をスタートさせてから、すべてが暗中模索であったことは容易に想像がつきます。その途中には、「こういう時、どうすればいいのか」「このまま続けていっていいのだろうか」と迷ったり悩んだりしてきたことも多かったに違いありません。開拓者が通らなければならなかった困難の多さは、ぼくらの想像を超えるものだったに違いありません。

でも、彼はあきらめることなく、一貫してやるべきことをやってきました。何度か事業の方向を大きく見直さざるを得ない局面に立たされていたことも知っています。たくさんの試行錯誤を経て、地元中小企業と若者を繋ぐ事業へと主軸を移していくプロセスも遠くから見守っていました。

やがて彼の活動に多くの共感が集まり、少しずつ影響力を広げていく様を見ているときは自分のことのようにうれしかった。やがて彼は、これからチャレンジを始めたい若者たちのモデルとなり、経済産業省など政府機関から表彰を受ける存在にまでになっていきました。

これからますます活動が広がっていくだろうなと安心した矢先、命にかかわるほどの交通事故を起こしたと聞いたときは、随分、心配しましたが…。

この本では、それらすべての経験を通じて秋元さんが獲得してきた知恵や知見を若い世代に伝えたいという、親心というかアニキ心が随所に感じられます。

彼が本書で綴っているのは、まさに自らの経験から身につけてきた実践的なノウハウと道を切り拓く者の心構え。

たとえば「PDCAよりDCPA」という項目。「plan」より「Do」が先なのだ、という考え方はまさに彼が社会起業家たるゆえん。

その他、「成功=成功確率×挑戦回数」。だから、たくさん打席に立つことが成功の鍵。「先回りして準備したことだけが実現する」といった、経験者だから語れる項目が並んでいます。

この本で秋元さんが最後に記しているのが、「小さな一歩を踏み出す」ことの大切さ。その一歩を全力で応援したいという秋元さんの、熱情が伝わってきます。

まだ将来どの道に進もうかと迷っている20代の人、
何かをやりたいと思っているけど一歩を踏み出せずにいる人、
すでに一歩を踏み出しけど、希望を失いかけている人、
そんな人たちにお勧めしたい一冊です。きっと将来に不安を抱えた若者たちにとって、闇夜を灯す灯台のごとく、希望をもたらしてくれることでしょう。

全編を通じて伝わってくるのは、秋元さんがいかに人を大切にしてきたか、ということ。そしていかに多くの人から支えられ、愛されてきたかということです。

今はG-netの代表を後進に譲り、自らは岐阜を離れ、岡崎の地で中小企業の経営支援を通じて地域活性化に貢献しているとのこと。機会があれば、何倍もスケールが大きくなったに違いない彼にインタビューをお願いしたいと思っているところです。

最後になりますが、秋元さんのプロフィール欄に拙著のタイトルがさりげなく入っていて、彼のお心遣いに気づきました。秋元さん、ありがとうございます。

もう一つ、表紙の撮影を担当された榊智朗さんは、日ごろから取材でよくご一緒しているフォトグラファーで、ご縁を感じました。


20代に伝えたい50のこと

20代に伝えたい50のこと

  • 作者: 秋元 祥治
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



《目次》

あなたはあなたの経営者。だからあなたが決めたらいい

お金と時間をどう使うかで人生決まる

人生に正解はないのだから、自分で決めて納得できるかだ

若い時は、節操がないほうがずっといい

キツい時は、生きてるーって思ったらいい。後から振り返ると、充実している時は苦しかった時

人生最大のピンチが何度もやってくる、というのは成長の証

目の前に落ちているゴミをまたがない。それが大事

逆風は、浮力を生むチャンス。批判は、自身の思いを確かめる機会

選択の基準は、自分自身を空から見下ろして「おまえ、面白いことしているじゃん」と思えるかどうか

お金がない若い時は、未来の自分から借りたらいい

中途は、後半38分から投入されたフォワードだよ

「今日の感想」と「今日の学び」はまるで違う

ものわかりのよい若者なんて、いる意味がない

いつも「やりたいこと企画書」は持ち歩こう。チャンスは突然やってくるから

夢や目標は描かない。価値観やモノサシは大切にする

ほんのちょっと想像する力が、圧倒的な差になる

今日からすぐできる、差をつけるメモの取り方。自分の心の中をメモすることが大事

モテること、仕事で成果を上げることに共通する、大事なこと

トレンドは、書店に「平積み」されている。視野を広げたいなら本屋へ行こう

決意を新たにしても意味がない。小さな一歩を踏み出そう

以上。

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