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伝えたいのは物語なのだ [ライター的]

ライターの仕事をしていて困ってしまうのは、原稿が書けない時。といっても僕は小説家ではないので、生みの苦しみといった高尚なものではありません。たいていは取材したことをまとめた記事に仕上げるのが使命なので、素材とかテーマはすでに決まっている状態でスタートします。だから書くことに困るといったことは基本的にはない。

でも書けない時はやっぱりあるんです。

その場合の原因はおおむね3つ。
1つは、疲れていたり、睡眠不足の時。こういう時はまず休めって話です。

2つめは、話題が難しすぎる、もしくは想定していた構成と取材内容が違うとき。これは本当に困ります。前者は一つずつ学び直すしかないし、後者はもう一度、依頼主となる編集者と話し合って再構成するしかない。

一番やっかいなのは、3つ目の書くべき内容に「物語」が見つからないとき。小説家でもないのに物語って……と思うかもしれませんが、僕はどんな文章であれ、何かの物語を伝えるものだと思っています。だからどんな話題でもそこに物語を見つけて、それを伝えたいと思っているフシがある(最近気づいたんですけど)。

物語といっても、難しい話ではありません。たとえばある製品を紹介するという場合なら、なぜそれを作ろうと思ったのか、どんな人がどんな工夫をして、どんな壁にぶつかりながら完成にいたったのかということだったりします。

こういう物語のないものは書けない、というか書く動機が自分の中で見つからず、時間だけがたっていくんですよね。

最近、デジタルとかDX関連の原稿を任されることが増えていて、物語が見つけづらいケースが増えています。取材もおおむね技術の話で、それを説明してくれる人はIT技術者だったりするので、合理的な考え方や手順は教えてくれても、なぜ(あるいは誰が)これを作ろうと思ったのか? という素人っぽい質問を投げかけると、びっくりされたりします。

こちらもまあ、結局のところ「これを活用すれば便利ですよ」ということを書くわけなので、煎じ詰めれば物語なんていらないのかもしれない。でも、それだと僕の筆は走り出してくれない……と、まあそういうわけです。

物語って突きつめれば「人」なんですよね。デジタルだろうと技術だろうと、それを使うのは人間である以上、諦めないでなんとかそこにある人の物語をさぐり出して、文字で伝えていきたいなと思っています。



七々三




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